HOLY'S BLOG

Yさんのこと

おはようございます。

編み物クラブのYさんのことを書きます。

Yさんは、昨年の夏から編み物をはじめました。針を持つのも初めてで、初級コースの指人形は3回かかりました。手が汗をかかれるので、針と毛糸が締まっていました。
コーヒー豆コースターも同じくらい時間をかかったけど、お家でも復習できるようになられました。
コーヒー豆コースターの自主練で、ぎこちなかった編み方も、すっすっと手が動くようになり、どれほどお家で練習してるか、私にもよくわかりました。

 

Yさんは今、働くセーターを編んでいます。
訳のわからなかった編み図や記号も、トップダウンの襟から胸までを何度も何度も編み直しながら目で追っていくうちに、ある時から、パカンとわかったそうです。

 

一昨日の編み物クラブでは、裾の2目ゴム編み止めを一緒にしました。
最初は、私がやってみせるのが、何をやってんのかさっぱりわからなかったそうです。
何度も何度もやってるうちに、ペアにして目を作る意味がわかるようになり、目を見失っても、次に拾う目を平行の目で拾うこともわかってきました。

3時間かけて、裾の1周が終わりました。わかったような気がすると言われます。

 

次に編む袖の休み目からの拾い目のやり方を伝えました。もう編み図が読めるようになったYさんなら、お家で袖が編めると思ったからです。

 

最後に、もう一度2目ゴム編み止めの復習で、私の編んだセーターの2目ゴム編み止めを見せると、
Yさんは今日3時間かけた2目ゴム編み止めを、お家でやり直すと言いました。

やり方がわかって、糸の引き具合も調整できるようになったら、もっときれいな2目ゴム編み止めができるようになると、イメージできたんだと思います。

それまでも何度も何度も編み直しをされてきて、その都度、上手になる自分を実感されてこられたんだと思います。

指人形を何度も編み直しておられた間でも、働くセーターの本を何度も見て、ご自分で編んで着るイメージをされておられたそうです。

その頃、周りのすでに編んでるクラブの先輩たちが次に編むセーターの色を選んでるのを見て、自分も同じように毛糸を選んで編んで着ることを妄想してニヤニヤしておられる様子を、私達(あえて私たちと言います。編み物クラブで一緒になるメンバーのこと)は、眺めていました。

 

 

進んだ編み地を編み直すことを決めるのは、その人です。
私はその先がきっともっとうまくいくことを伝えることしかできません。

 

編むことが生活になかったYさんの日常に、編み物が加わりました。

生活や仕事の環境は変わっても、自分の手だけは、やったことを覚えてくれてて、動かせば動かした分だけ、手は応えてくれます。

 

また次にYさんに会える日を楽しみにしています。

 

セーターの洗い方と洗剤の話

4月27日

友達のお墓参りを終え、急斜面の自転車を押していると、農道から出てきたおじさんと顔を合わせた。

「たいへんじゃのう」

こちらを見るともなくおじさんが言う。

「私は、たまの墓参りにですけぇ」

労われるには、後ろめたさがあった。

家族の頻度に比べると、申し訳なさがある。  

最近あったことと、これからのこと。 報告することは、いろいろあった。

「ほうかぁ」

「ありがとうございます」

おじさんは、車止めに入ってった。

私がまだ自転車を押していると、後ろからおじさんの自転車が追い越して行った。

私は「電動かあ」と声が出た。

「さすがぁ」 私が言うと、おじさんは前を向いたまま、手を振ってくれた。

空は高くて気持ちよかった。

  おじさんの「たいへんじゃのう」は、電動じゃない私の自転車のことだったんだ。

言葉は、受け取る側が意味を作るんだなと思う。

私がしてもらったたくさんの「恩送り」は、天に届くんだろうか。

墓石を見ると、ちょうど彼女の月命日だった。

今度は、ハイキングを兼ねて来たいと思う。 水源の山並みは深く、彼女のようになりたいと思った。

市原湖畔美術館へ

自分にとって、大切なことほど、なかなか言葉にできないものですね。。

先週末の旅のきっかけは、市原湖畔美術館ではじまった「末盛千枝子と家族の人々」展」に行くことでした。

すえもりブックスを立ち上げ、数々の絵本を手掛けかれ、
絵本作家ゴフスタイン自身から、日本での出版を一任された末盛千枝子さん。

今、現代企画室版となったゴフスタイン作「ゴールディのお人形」「ピアノ調律師」をはじめとする絵本の数々。

2019年、私が「ゴフスタインと私」展を企画した時、
まず、ゴフスタイン絵本の各出版社に一通ずつ手紙を書くことからはじまりました。
内容は、ゴフスタイン絵本からインスピレーションを受けた作品作りとその展示を企画していること。
私の自己紹介と、作品について。
開催時には、ゴフスタイン絵本も一緒に展示販売したい、その取り扱いについての許可と依頼といった細々なこと。

その企画展から「働くセーター」は生まれました。

#ゴフスタインと私

 

それ依頼、現代企画室のEさんとは、丁寧なお付き合いをさせていただいていて、
最初のやりとりからはじまり、私のイベントにも何度か足を運んでくださいました。

また、現代企画室のHPで、私の展示会「ゴフスタインと私」展の告知さえ、行ってくださったのです。

ゴフスタインの絵本に勇気づけられた人、特にアーティストの方で、影響を受けた本として『ゴールディのお人形』をあげる人も、たくさんいる中、私はそのものづくりをする人間の端くれにすぎません。

 

 

私からの報告は、末盛さんにも共有され、
それが当時の私に、どれほどの励みになったかわかりません。

末盛さんの手掛けてこられた絵本は、「子どもたちのため」だけでなく「大人のため」の絵本であり、常に「なにを美しいと思うか」を問われています。

数々の絵本の原画、また日本初、ゴフスタインの原画も見ることができます。

彫刻家の舟越保武さんを父とし、芸術家一家の長女として生きてこられた千枝子さんの人生は、決して穏やかではありませんでした。

弟さんの舟越桂さんの彫刻をはじめとするご家族の作品、そして末森さんの生き様を感じられる展示となっています。

保武さんの『ダミアン神父像』を見ていただきたい。

 

誰かが作ったもの。
芸術のみならず、作品に出会う時、
私たちは、いつもその向こうを、感じているのですね。

表現や技量など、ただの方法に過ぎなくて、そのとてつもない鍛錬の先に、自在に心を移す指先が生まれるのかもしれません。

「末盛千枝子と舟越家の人々」
市原湖畔美術館
2023/4/15(sat.)〜6/25(sun.)

*アスセスは、市原湖畔美術館のHPに詳しくありますので、ご参照ください。
私は横浜から高速バス〜タクシーで行きました。

 

失敗セーターを着てみる

いつかの失敗セーターを着てみました。
サイズ4に仕上げるはずが、手が緩んで大きくなりすぎたセーター。

デニムにインしてみました。
ゆるっと着るのもいいかもしれない、なんて思ったりして。

失敗の話もよかったらぜひ、お読みください。

 

 

 

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