日曜日の編み物クラブ
編み物クラブを通して来てくださってる方々の、人生の一片に触れられることを深く深く感謝します。
日曜編み物クラブは、月1の第1日曜に行なっています。
今年から来てくれるようになったAさんは、編み物クラブでは若いチームです。
編み物は全くはじめてから、初級コースの指人形と珈琲豆コースターを終え、今は旦那様の靴下を編んでおられました。
彼女はいつも、私がみなさんのお茶を運んでいると、いつのまにか自分も立ち上がり配ってくれています。
それが、彼女が立ち上がったり、歩く時、音が立たないんです。
私がお茶を淹れ運びはじめ、2回目のターンで戻ると、湯呑みは減っていて、振り向くとAさんがすでに運んでる、と言った具合です。
私がお盆を使えばいいじゃないか、という話ではありますが、私の部屋が狭いので、お盆を持つと動きにくいんです。笑
それにみなさんには、作業を続けてほしいから、ぜんぜん私ひとりで少しずつ、配れば良いのです。
Aさんは、全く音を立てないものですから、なんというか、
手伝ってもらった私にも、配ってもらったクラブの方々へも、さりげないんです。
聞くと彼女は、長女で、子供の頃からお家の手伝いし、12才も離れた弟妹がいるそうなんです。
そんな彼女が昨日珍しく「実は」とご自身のことを話しはじめました。
「妊娠したのだけど、双子らしい」
ご結婚されてだんな様の転勤で広島に来られ、子供を作ることは想定していたけれど、ひとりかなと思われていたAさんが、まさかの双子、いっぺんに2人も出てくるというのです。
それはたいへんだと、クラブのメンバーが沸き立ちます。
「落ち着かなくて」 Aさんが言います。
そりゃそうだ、とみんなで頷きます。
予定日は来年1月だそう。
「なんでも2枚いるね、まずおくるみも2枚いるし・・・」
「靴下なら4つだ」
ならば、だんな様の靴下を編んでる暇はなく、赤ちゃんのものを編まなくちゃです。
急遽、取り組み変更で、赤ちゃんの・・帽子から編むことになりました。
さてそこからが大変でして、新生児の頭位を調べ、10日で10cmも大きくなることに驚愕し、帽子の色は?素材は?とバタバタしはじめました。
彼女が作り得る赤ちゃん帽子を考えないと。
そんなこんなで、彼女は赤ちゃん帽を編みはじめました。
ふたついるから、お家で同時進行出来る方法もお伝えします。
Aさん、しばらくの間、みんなで見守らせてくださいね。
編み物の姿勢について
編む時の姿勢について
どうお伝えしたら
みなさんが楽に編めるのか考えています
まず椅子に座る時
座面は硬めで腰が立つ椅子をすすめます
仙骨を立てることが大事です
床に座るなら
正座かあぐらで
座面の柔らかな椅子に座ると
腰が沈み背中が曲がります
その姿勢で編もうとすると
首が前に出てしまいます
編むことがしっかり身についているなら
どんな姿勢でも編めるけど
体の力を抜くことからお伝えしたい時
やはり基本からお話しします
脚は組まず
床に足裏を付ける
安定させる
膝は開いちゃうと思うけど
編む時なのでお構いなく
その姿勢で自立が疲れるなら椅子に深く座り
腰は直角で背当てに背中を預ける
肘は胸の横に添えると肩が落ち
腕はテコの原理で上げやすくなります
脇が空いてると肩も上がるので
肩にも腕全体に力が入り
呼吸が浅くなります
呼吸が浅いと
指先や糸との感触も
新しいことを知ることも
本の説明から何かを学ぶことも深まらないと思うんです
呼吸が深くできる姿勢でいると
視界が広がり
理解が深まるような気がします
毛糸や指先の感触がより伝わって
より仲良しになれると思うんです
私は編み物をはじめる方に
まず姿勢をお伝えします
楽に楽しく編んでいただきたいから
昨日の編み物クラブより
昨日の編み物クラブより。
初級コースより3回め受講のMさん。
HOLY’S編み物クラブの初級コースで用意のあるコーヒー豆コースターを、指定の30段まで編まれて来られました。
針に残ってる目をすべて左上2目1度し、
半分の目数にしたところ、割り切れるはずの目がひとつ余ってしまいました。
編み目の目数を数えてもらうと、全体で33目ありました。
ひとつ余っちゃう訳ですね。
「どうしますか?」と、私はMさんに聞きました。
Mさんは「ごまかして、最後3目1度かにして、仕上げて次にいきたい」と答えました。
Mさんには、すでに次に編みたいものがあって、
それは高齢のお母さまが使う簡易的なベストでした。
後ろ身頃から身幅で平らに編み、頭から前身頃に向かっ身頃が半分に分かれるポンチョの前開きバージョンで、脇下をボタンで留めるというものです。
ということは、往復編みになる訳ですが、、
平らな往復編みをまっすぐに編むことが難しいことを、私は知っています。
Mさんに私は答えます。
「気持ちはわかるけど、HOLY’S編み物クラブに来て、ごまかす、は、ないんです」と言いました。
「ごまかして仕上げたものは、側にあっていつも(ここ、ごまかしたんだよなぁ)って見るたびに思うことになる。それは時期、使わなくなる」
と言いました。
「編み直しましょう」
昨日の私は、少し強引に進めました。
言葉は足りなかったかもしれません。
「大丈夫。編み直しは、最初の2分の1の時間で出来ます」
Mさんは、ほどきはじめました。
別鎖から拾う目数から、多かったようです。
新たに目を拾います。
拾い方を忘れておられました。
前回やったことでしたが、もう一回やることで、きっと覚えてくださるはず。再度、説明します。
彼女の編み目は、ブカブカと大きな目になっていましたが、2回目では、安定してきました。
指の使い方も、少し直してもらいました。
昨日の回で、Mさんは、編み終わられました。
編み目は、すごくきれいに揃っています。
初級なのに厳しすぎるように、感じられるかもしれませんね。
Mさんには、お母さまのベストを編む目標があります。
それには、コーヒー豆コースターの何倍も編まなければなりません。
その目標があるなら、きっと昨日の編み直しは、近道になります。
そんなすべてを限られた時間の中で、言葉を尽くせなかったけれど、きっと手を動かすことで、感じてもらえるはず。
私は、編み物クラブに来なければできない編み物をお伝えするより、ものを作る技術を身につけて、ひとりでも作りたいものが作れるようになってほしい。
そんな気持ちで、編み物クラブをやっています。
芍薬が開いたので
芍薬が開いてくれました
近くのスーパーの「季節の花 298円」で売られていた蕾を買いました
昨年は蕾のまま、うまく開かず茶色くなったので
今年は開く方法を調べました
まず水切り
下の方の枝や、途中の葉を思い切って落とす
蕾は、「蜜」によって守られているので、さっと濡らすか、
湿らせたキッチンペーパーで優しく、蜜の膜を拭き取ること
毎日きれいなお水に生けること
そのどれが欠けても芍薬の蕾が開かないのなら
何かが「宿る」ということは
たまたま天から降りてくるものではなく
「手技」を磨くことで
確実なものになる、ということでしょうか
そんなことを考えると自分の仕事も
日々手を動かして
着る人の体の形に合わせながら
気持ちに寄り添うように、と
セーターを編むのも、何か「宿る」ことができるのなら
そんなセーターが作りたいと切に思いました
こんなにきれいに
蕾が開いてくれたので
母作のブラウス
母が縫ってくれたブラウスを着ています。
母を3年前に見送りましたが、母作のブラウスは、健在です。
子供の頃から、母の作った服やカバン、帽子を身に付け、カーテンからシーツまで、家中全ての布物は、母が手掛けたものでした。
私の母は、婦人服の仕立てをしていたので、ミシン仕事はなんでもやりました。
小学生の頃、私は、首の後ろにタグの付いた服に憧れもしました。
私が冬場に学校に持参する座布団も母は、作りました。
小学1年の初冬、朝起きると、私の目の前に今まで作ってるところすら見たことのない座布団がいつの間にか仕上がっていました。
きっと使ってない座布団の綿をカットするところからです。
座面には、ボンネット・スー風のアップリケと刺繍を施した女の子の後ろ姿があって、座布団の4角と真ん中に、綿がずれないための糸どめが付いています。
クラスのみんなは、洋品店で売ってる四角い角のたったポリエステルスポンジが入った、座面にはキャラクターがプリントされた座布団で、そのピシっとした形が羨ましかったけれど、私は母の作ってくれた座布団を使い続けました。
上履き入れにも、刺繍とアップリケで、野ネズミの女の子がスカートを履いて花畑の真ん中に佇んでいました。
母がそんなパターンをどこで仕入れていたのか、絵本を見て模倣してくれたのかもしれません。今思えば、ビアトリクス・ポターのネズミのお話の絵にそっくりです。
制服のような既製品のジャージの白いブラウスもありましたが、胸ポケットには、うさぎの女の子の刺繍が入っていました。
私が母作のジャンパースカートやワンピースを着ていると、友達のお母さんがどうやって縫っているのか「見させて」と言って裾をひっくり返すこともしばしばでした。
そんなことをツラツラと思い出すと、母はあまり多くを語る人ではなかったし、甘やかされることもなかったのですが、愛情をたくさん与えてくれていたんだなと思います。
何より母自身が嬉々として作っていたんだと思います。
大人になってからも、母はずっと私の服を作ってくれて、編み物が生業になってからも、少ない収入で新しい服が買えない代わりに、せっせと必要なものを作ってくれました。
母が作ってくれたブラウスは、何枚もあったけれど、もういよいよ生地も薄くなって襟もよれてきた数枚を、先日、ボタンを外して手放しました。
あんなに手放せなかったヨレヨレブラウスを、母が亡くなって3年経って、やっと、です。
でも大丈夫なんです。
母の手掛けてくれたものは、まだまだあります。
私はあの親に育てられたんだと思うと、仕事にも熱が入ります。
最近はじめたInstagramの新しいアカウント「今日は何着る」でも、この先も登場します。
@naomiholysでやってます。よかったら見てみてもらえるとうれしいです。