HOLY'S BLOG

捩花のこと

2週間以上前、書きかけて、忙しさに紛れた思いを再び。胸の中で何度も行き来するから。

 

捩花を教えてくれたのは、夜学の頃、昼間のバイト先「楽譜工房」の松田さんだった。

新宿は四谷、三栄保育園の周りにその花は咲いていて、お昼ご飯をコンビニへ買いに行く道すがら、松田さんが、「ほりちゃん、これは捩花、又の名を綟ずりというよ。筆のように見えるだろう?子供が文字を覚える時、最初は文字をなぞるでしょ。だからもじずりなんだよ」

 

松田さんから教わったことは沢山ある。

人の悪口を言わない。

不平不満を口にしない。

仕立てのいい上着は肩で着ること。

地図の上で世界旅行ができること。

うどんは冷凍、麺の腰で食べること。

出先では、自分から挨拶する。

本を読むことの素晴らしさ。

 

とてもきれいな納品請求書を書く人なのに、机から出した椅子を収めない人だった。

机の上は、山のように紙や本が詰んであり、その僅かな隙間で松田さんの描くスラーは、どこまでも伸びやかで美しく、五線の上に弧を描き、眺めるだけで、そのメロディが感じられるのだった。

時々、お酒臭い朝があって、指先は震えるのに、音符の横に押す♯は、必ず的を得てピタッと止まる。

小娘には、到底不思議で仕方なかった。

今ならもっと、松田さんから聞くお話を、おもしろく聞けたのに。

この土手で、捩花に気づいたのは、今年が初めて。

毎年、捩花を見る度に、松田さんを思い出し、誰のためにもならないことは口にすまいと、胸に刻み直すのだろう。

楽譜工房で学んだことは、数え上げればキリがない。

 

このライトから

今日の編み物クラブの彼女は、本に載るテキストのフェアアイル、丸ヨークカーディガンを、ご自分のサイズに引き直し、試し編みから始められました。
私の構想も加わり、編み目数は元よりオーバー気味に変更。
アバウトな丸ヨーク解説と「多分これでイケる」の予感をしっかり立証してくれて、よくぞ付いて来てくださった。感動すら覚えています。
私が、これをわかるまで何年かかったことか。

 

友達に会いに行けてないし、ご無沙汰してます。お元気ですか?

しばらく制作が続いており、私は元気でやっています。

 

この小さなライトから始まったこの部屋の暮らしから、ひとつ、ひとつ私が作る何かを、ちゃんと見ていてくれる。

 

友達に会いに行けなくても、ここに来てくれる方の話を聞かせてもらうことが、回り回って、しばらく会えない友達の話を聞くことと、繋がるような気がします。

 

頼りなくもあたたかな光を眺めていると、そんなことを思いました。

ブックカバーチャレンジ4日め

【ブックカバーチャレンジ4日め】
ヘレーン・ハンフ編著『チャリング・クロス街84 番地』

古本屋への憧憬は、この本がきっかけかも知らない。

ニューヨークに住む言葉を生業とした女性がロンドンのチャリング・クロス街の古書店「マークス社」へ送る一通の本のリクエストから始まる20年に渡る古書の注文とそれに答える手紙のやり取り。

荷物に添えられる贈り物と、お礼文の気の利いたこと。

会ったことのない人への手紙の中で、お願いごとをしながら丁寧語を使い、冗談も挟み込む、かなり高度な仕業だと思う。
大人になったらそんな荒業ができるようになるのかと思ったものだけど。
今となってはできないままに、結構な年になってしまった。

この中にあげられる書物は、さっぱりわからないものばかり。
タイトルに惹かれて手に取った一冊。
憧れだけで、読んでしまえたのだろう。
ワクワクした感触だけは、手に取るたびに蘇る。

ブックチャレンジ4日目にして、3冊が手紙の形を取った小説。書簡集好き。

本と手紙のやり取りと言えば、岡本 容子さんに次のバトンを渡したい。
図書館司書で手紙好きの、彼女しか思い当たらない。

【ブックカバーチャレンジ ルール】
①7日間連続で、本について表紙画像をアップする。
②その都度ひとりのFacebookの友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする。

ブックカバーチャレンジ3日目

【ブックカバーチャレンジ】3日目
ソーロー作『森の生活』

大学の学生寮での受付バイトの1年間、読書体験は格別だった。それを引き受けたのも、空いた時間は、本を読んでて良いという条件。

私が、受付で本を読んでいると、入れ替わり寮生さんがおすすめ本を差し出してくれた。
太宰治、谷崎潤一郎、シドニィ・シェルダン、村上龍、村上春樹、原田宗典、宮本輝、etc。

ソーローの『森の生活』は、その大学の購買部で、自分で購入。
読んでいると、背の高い4年生が「『ウォールデン(英語版タイトル)』あるよ。持ってくる?」と当然のように尋ねてくれる。
残念ながら、首をを大きく横に振った。
今となれば、貸してもらったらよかった。

内容については、今の生活に大きく影響を受けている。
実際、森の中で自給自足ができなくとも、誰かの労働を搾取することなく、自分の手で、街暮らしでできる自給自足があるのではないか、と模索している。
「小さく暮らす」をモットーとする。

この一冊で、引き出された学生寮バイトの記憶。その時の寮生会長、きやっちに次のバトンを渡したいと思う。

ブックカバーチャレンジ2日目

【ブックカバーチャレンジ】2日目
純粋に自分の読書体験の話をしよう。

ウェブスター作「あしながおじさん」

それまでの学校図書で何度か手にしたこの本の、本当のおもしろさがわかったのは、自分も生まれ育った場所を離れ、身ひとつで他人の中に飛び込んでからだった。

20代で買い集めた文庫本を、度重なる引越しで、今となっては3分の1 に減らしてしまった。手元に残るのは、どうしても手放せないものばかり。

「あしながおじさん」は、続編まで持っているのだから、相当気に入ったのだろう。

用務員のおじさんや掃除婦のおばさんに親しみを覚え、仲良くなるのも共通項のひとつだった。
パブリックスクールの中で生き生きと描かれる生活は、そんな大人達にも支えられ、小さな心のひだを見逃さず、ペンを走らせ「おじさま」に報告される。
途中で差し込まれるジュディの描いたイラストのラフさ加減は、自分には決して描けぬ線だったことも、はまる要因だったかもしれない。

【ブックカバーチャレンジ ルール】
①7日間連続で、本について表紙画像をアップする。
②その都度ひとりのFacebookの友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする。

今日のバトンは、母と私の主治医、 伊藤欣朗先生へ。
受け取ってくださるだろうか。
伊藤内科の待合室には、先生が読まれたであろう本が並ぶ。
健康に関わる本やメンタルのこと、サブカルや哲学に及ぶ。
医学を離れた先生の愛読書をお聞きしたい。

 

 

 

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