3月の編み物クラブ開講日
セーターとトレッキング

ネパールの山を歩くために、
セーターを1枚持っていくことは最初から決めていました。
山の装備の多くは友人に借り、
機能的なレイヤーを選ぶこともできたけれど、
重量制限のある中で、私は自分のアランセーターを選びました。

11月のネパールの山は寒暖差が激しく、
歩けば体温が上がり、ウールのTシャツ1枚になります。
山小屋では、いつもセーター。
心許ないシャワーの後も、
冷え切った朝に目覚めたすぐも。

前も後ろも気にせず、素早くすっぽり被る。
歩き始めて体が温まるまではセーターで、
汗は編み目から、風の通りに抜けていき、
体温だけは、残ってくれる。
山を歩くことを日々の続きのように、
体に馴染んだこの1枚で過ごせたことが
何よりうれしく安心できました。
古い編み物本に出てくる、
セーターを着た探検家を思い出します。
働くヤクに、たくさん出会いました。

シェットランドヤーンに包まれる自分は、
「はじめまして」と先輩に会えたような気持ちになるのです。
ヤクの毛と結ばれたリボンが道に落ちていて、
一緒に歩いた仲間がこっそり拾って、私にくれました。
いつも目に留まる場所で、お守りのようにしています。
またいつか、このヤクに会いに行くんだと。
I decided from the beginning
to bring one sweater with me
for walking in the mountains of Nepal.
Most of my mountain gear was borrowed from friends.
There were many functional layers I could have chosen,
but with strict weight limits,
I had to make a choice.
I chose my own Aran sweater.
In November, the mountains of Nepal have dramatic temperature changes.
As soon as you start walking,
your body warms up,
and you end up in just a wool T-shirt.
In the lodges, I always wore the sweater.
After unreliable showers,
and in the cold mornings just after waking up.
No front, no back—
I simply pulled it on.
Until my body warmed up, I walked in the sweater.
Sweat escaped through the stitches, carried by the wind,
while my body heat stayed with me.
Being able to walk the mountains
as if they were a continuation of daily life,
wrapped in a sweater familiar to my body,
made me feel deeply happy—and safe.
I thought of explorers
in old knitting books,
wearing their sweaters.
I met many working yaks.
Wrapped in Shetland yarn,
I felt as if I were greeting an elder—
“Nice to meet you.”
A ribbon tied with yak hair
was lying on the trail.
One of my companions quietly picked it up
and gave it to me.
I keep it somewhere my eyes often rest,like a small talisman.
Someday,
I will go and meet this yak again.
Thanks a lot
photos: Yoshitaka Toge
LOG BOOK とおやつ作り

ネパールも、ニセコでの思い出も、うまく言葉にならないまま、時間が過ぎている。
書きたいと思うし、言葉のひとつふたつは浮かぶのだけれど、それに伴う自分の感情がまだうまく掴みきれない、というのが正直なところだ。
日々のこと、製作と企画展示。
忙しさを理由に編み物クラブのおやつを買ったものにする日だってあっていいと思うのに、自分を甘やかすようで、できないでいる。
習慣とは、自分に負けないようにと頑なになる必要はないはずだってことも、よくわかっているのだ。
それでも作る編み物クラブのオヤツ。
今日は、先日訪れたニセコ、Camp and Goが発行している『LOG BOOK』に載っていた「プラントベースのおやつ作り」のレシピで「植物性原料のザクザククッキー」を作ってみた。
Camp and Goとは、私がネパールの旅を共にしたヨシさんこと、峠ケ孝高さんが仲間と共に運営している場所のことだ。
SPROUTというカフェと珈琲豆屋、アウトドア用品のショップ、ギャラリー、宿泊施設などがある。
『LOG BOOK』は、Camp & Goが自分たちの活動や紹介したい人、生活やニセコでの遊びのことをまとめて本にした雑誌のようなもの。
私は、カトマンズでの「BISTARAI BISTARAI FES」で『LOG BOOK』をすでに手にしていた。
先日のニセコに、そのBISTARAI BISTARAIのメンバーが集合できたのは、ヨシさんのおかげだ。
ヨシさんは「みんなにお返ししたい」と語っていたけれど、私たちは、それ以上に、その日々に胸を熱くしたと思う。
私は、ネパールのトレッキングまで3週間の旅を共にしたヨシさんのことを、家族とまでは言わないまでも親戚くらいに思っている。勝手に。
とても親しい親戚。
きっとこの気持ちは、旅を共にした他のメンバーも同じだと思う。
ヨシさんには、ベースのニセコでの自慢の家族や親戚がそもそもあって、(それはヨシさんにとって、日々を共にする仕事仲間のこと)
私たちは今回のニセコで、ヨシさんのそもそもの家族や親戚のような仲間に出会って、普段のヨシさんを囲むコミュニティについて触れたんだ。
彼らは、ヨシさんから話を聞いていたように、自己紹介をすると「ああ、ホリさんですね」と、おひとりおひとりが言ってくれた。
その微笑みが、眩しいとさえ、私は感じた。
ヨシさんが、この彼らに囲まれている日々があり、Camp & Goで、私達をあたたかく迎え入れてくれた何人ものお顔を思い出す。
ふと、ここに載ってるレシピで、お菓子を作ろうとLOG BOOKを開くと、今ならこのページはあの人、この似顔絵は彼女ね、などと浮かんでくる。
『LOG BOOK』は、ニセコで生活をするためのお手本みたいな本だ。
どのページにも、楽しく暮らすヒントを教えてくれる。あたたかな焚き火を思い起こさせる。
なぜみんながあんなに笑顔でいられるのか、不思議に思えたくらい、みなさん、日々を楽しんでいる。キラキラしていた。
冬の寒さに共に耐えながらも、自然と仲良くする術を知ってて、体全部で享受している。
その共同体のような意識が、あの雰囲気を作り出すのだろうか。
私は、日々ものを作りながら、まだまだ奮闘し、もがいている。手仕事のせいだろうか。
自分にできることは、与えられた仕事がこれならば、今は信じるしかなく、
そして私もみんなにお返しできることはなんだろうと、ネパールからも、ニセコから帰っても、考えている。

レシピを参考に、うちにある材料で作ったクッキーは、ザクザクより、ちんまりとしたクッキーになった。
レシピにある全粒粉がなかったから、アーモンドプードルに変えたからだと思う。

我が家のピースオープンの出動。

順番に振り返らず、いきなりLOG BOOKから、ニセコでの思い出を振り返っちゃったので、
また言葉が宙に浮いている。
せめてクッキーだけでも。
ぜひヨシさんの言葉を読んでいただきたい。
HOLY’S creators note vol.1 in Phil books

HOLY’S creators note vol.1
ーすべては手袋からはじまったー
creators note EXHIBITION
2026年2月7日(土)– 2月15日(日)
11:00〜17:00
※2/9.10が休み
会場:Phil books(徳島)
creators note WS
2026年2月7日(土)13:00–16:00
HOLY’S creators note は、
手仕事の軌跡と思考の過程を、展示と対話を通して共有する企画です。
vol.1「すべては手袋からはじまった」では、
手袋を起点に、フェアアイルへと至る私の仕事の流れを辿ります。
完成した作品だけでなく、
試し編みや思考の痕跡も含め、
なぜそれが仕事となり、書籍へとつながっていったのか。
その過程そのものを、展示としてご覧いただけます。
creators note EXHIBITION(展示)
会期中は、どなたでもご覧いただける企画展示として、
手袋、フェアアイルの試し編み、関連資料などを展示します。
拙著『手袋と街』につながる手袋と、
フェアアイルへと向かう試行の時間が、今回の展示の主軸です。
※展示のご観覧は無料です。
creators note WS(ワークショップ)
HOLY’S creators note WS は、
ものを作らないワークショップです。
展示を背景に、
これまでの仕事を振り返りながら、
なぜ今のクリエイションに辿り着いたのかをお話しします。
WSは4部構成です
- 第1部|導入
- 第2部|コーヒーとの時間
- 第3部|シェアの時間
- 第4部|実演
WS開催概要
- 日時:2026年2月7日(土)13:00–16:00
(30分前より入場可) - 参加費:10,000円(コーヒー付き)
- 編み物の経験は問いません
- 参加費は当日受付にてお支払いください
展示・販売について
2月7日(土)〜2月15日(日)
11:00〜17:00
※2/9.10が休み
展示に加え、HOLY’Sの書籍、関連本、ゴフスタイン絵本、オリジナルTシャツやバッグを販売いたします。
また、MOUNT COFFEEさんによるHOLY’Sニットをイメージしたオリジナルブレンドもご用意いただきます。
WSお申し込み方法
HOLY’S HP → work shop「お申し込みフォーム」より、
「2月7日 Phil books」 と明記のうえ、
お名前・電話番号・参加人数をご記入ください。
(曜日やコースは、そのままで大丈夫です)
場所 : 〒779-3610徳島県美馬市脇町大字脇町156うだつ上がる
mail : philbooks1@gmail.com
※Phil booksの交通アクセスについては
Phil books のinstagramのDM、メールにて、お問い合わせください。
※展示のみのご来場は、お申し込み不要です。
※『働くセーター』写真展 同時開催
写真家・吉森慎之介さんによる
「働くセーター」写真展も併せてご覧いただけます。
みなさまにお会いできること、心より楽しみにしております。

いにしえの編み手との語らい

もうひとつ、新しく出来た手袋をお送りしました。
膨らみのある、少しだけ大きめの手の方へ。
またひとつ、サンカ手袋における
新しいパターンの置き方、
目を増やし方の構成に出会いました。
いにしえの編み手の作品が
写真だけで残っていて、
この要素とこの要素を加えたら、
あの方の手にぴたりと合うだろう。
私はその写真の中の手袋の、
名前もなく
会ったこともない編み手の方と
対話している気持ちになります。
「独創性の先に見える光のようなもの」
ルールに乗っ取りながらも、
編み手ひとりひとりの
創意と工夫が
ちゃんと、ひとつずつに現れている。
感謝と尊敬を、あらためて。
I have sent out another newly finished pair of gloves.
For hands that are slightly fuller,
just a little larger in shape.
With this pair,
I came across a new way of placing the pattern
and structuring the increases
within the Sanquhar gloves.
There are old knitters’ works
that remain only in photographs.
Looking at them, I think—
if I combine this element with that one,
it would fit that person’s hand perfectly.
I feel as though
I am in conversation
with the unnamed knitter
whose gloves appear in those photographs,
someone I have never met.
“Something like a light
that lies beyond originality.”
Even while following strict rules,
each knitter’s ingenuity and creativity
emerges,
clearly and distinctly, in every single pair.
With renewed gratitude and respect.
