2023.04.28
4月27日
友達のお墓参りを終え、急斜面の自転車を押していると、農道から出てきたおじさんと顔を合わせた。
「たいへんじゃのう」
こちらを見るともなくおじさんが言う。
「私は、たまの墓参りにですけぇ」
労われるには、後ろめたさがあった。
家族の頻度に比べると、申し訳なさがある。
最近あったことと、これからのこと。 報告することは、いろいろあった。
「ほうかぁ」
「ありがとうございます」
おじさんは、車止めに入ってった。
私がまだ自転車を押していると、後ろからおじさんの自転車が追い越して行った。
私は「電動かあ」と声が出た。
「さすがぁ」 私が言うと、おじさんは前を向いたまま、手を振ってくれた。
空は高くて気持ちよかった。
おじさんの「たいへんじゃのう」は、電動じゃない私の自転車のことだったんだ。
言葉は、受け取る側が意味を作るんだなと思う。
私がしてもらったたくさんの「恩送り」は、天に届くんだろうか。
墓石を見ると、ちょうど彼女の月命日だった。
今度は、ハイキングを兼ねて来たいと思う。 水源の山並みは深く、彼女のようになりたいと思った。