ピースオーブンのこと
ピースオーブンについて、書いてみます。
こんなに古い道具が今でも現役で使えるのは、これが2台目だからです。
母が1台目を使い続け、焦げて塗装もハゲハゲになった頃、近所のリサイクル屋で新品のコレを見つけてたそうなんです。私が中学か高校の頃。
そのうち実家にも電子レンジが導入され、新しいピースオーブンの出番は少なくなりました。それでも大切に持っていて、私がこの仕事で独立した時、引越し屋さんのトラックとは別に、ガラガラと引っ張るカートに、しかと梱包したピースオーブンを自分で小さなマンションに運び入れました。
ピースオーブンを乗せる今のガスコンロとは、4年目の付き合いになります。
先代のガスコンロは、旧式の安全装置のついてないものでしたので、ピースオーブンの予熱はしっかりとできました。狭いマンションでは、その台所で暖が取れるほど、あたたかくなりました。
ガスコンロはいつも、いただきものです。
今使っているガスコンロも、先代が調子悪くなった頃、ひょいと友達のお姉さんからいただきました。
性能の良いガスコンロには、使い勝手の分からないところがあり、高温調理のためのロック解除で、ピースオーブンの予熱から焼きへと流れるように焼けると思いきや、
私は随分長いこと、ロック解除をした際、温度設定もせねばならぬと思い込み、1番高い(200度)に設定していました。
十分なはずの予熱後でも、いつまで経っても焼き上がりません。
(200度)設定では、ピースオーブン内の温度は上がりきらないのですね。
焼きプリンなんて、1時間以上オーブンの中に入れていました。クッキーの回転率だって悪いこと。
パウンドケーキやバナナケーキも、長めの時間で焼いていました。
ピースオーブンだと、やっぱりガスの直火なので、パリっと焼けるからです。
最近ふとしたことで、ロック解除後に温度設定せずに火力レバーを右に振り切った状態で、ガンガンいけることがわかりました。
センサーがあるため、時折、大から小へ、また大へと大火はふせぎなから、火を燃し続けてくれます。
するとケーキは、指定期間内で焼け、クッキーの回転率は良くなりました。スコーンなんて下火が効きすぎて黒焦げするほどです。
「なんだ、そうだったの」4年目ガスコンロに呟きます。
ピースオーブンと安全装置付きのガスコンロは、名コンビとなりました。
まるで友達のようだなと思いました。
出会ってから、それなりにうまくやってるつもりでいたけど、何年も経ってから「えっ、そうだったの?」って、グッと仲良くなれるケース。
高スペックだとは知ってたけどさ。
それからの友達の方が、のびのびと前より魅力的に見えてきて。
大人になってからできた友達にも、ずいぶん許され、甘えてきたような気がします。
いつか恩返しができるといいなぁ。
あ、ピースオーブンのお話でした。