働くセーターの失敗の話
失敗の話を書きます。
この春先まで、オーダーでお受けした働くセーターを何枚も編んでいました。いよいよ最後の1枚ってところで、大きすぎるセーターを編んでしまいました。
置き寸で胸幅が2㎝大きく、前にそのお客様に試着いただいたセーターより少し大きめだけど、この位なら大丈夫かなぁとお送りしたんです。
3月の終わり、せめて少しの間でも着れるかなと、焦る気持ちがありました。
これだけ仕事をしてるのに。
お客様からセーターが届いたとメールをいただきました。
「洗濯して縮むことを想定した大きさでしょうか?」
いえ、そんなことはありません。ちゃんと洗濯すれば、シェットランドヤーンは縮むことなく、長く着ていただくつもりで作っています。
「大きすぎるんです」
ちょっと大きめ、ではなく「大きすぎる」
お客様が着用写真を送ってくださいました。
大きすぎました。
置き寸で胸幅2㎝の差は全て着丈に伸びていました。
「働くセーター」の特徴でもある「繋ぎ目がない」ことが、全部影響して、ズドーンと10cmi近く、着丈と袖丈が長くなっていました。
すぐに作り直しさせてもらうことをお願いしました。
長く付き合いのある方で「すぐに送り返していただき、新しく作り直しさせてください」と返信しました。
内心、キャンセルになることも覚悟しましたし、これまでの長いお付き合いも、水の泡にしてしまうかもと、自分にがっかりしました。
有難いことに、お客様は作り直しを受け入れてくださり、「ゆっくりで大丈夫です」と、お待ちいただけることになりました。
さて、落ち着いて、新しいのを編み直します。
大きすぎた物はほどかず、手元に置いて、ゲージを測りながら新しい毛糸で編みました。
ゲージの10cmが17.5cmのところ、16.5〜16目でした。
この1目の違いが、何倍もになるので、大きな差になるんですね。
働くセーターを何枚も編んでいるので、編み図は頭に入っています。早く編めるので、飛ばして編んでいると、私の場合、目が緩むんです。
急がす焦らず、平常心で。ゲージを測ることを怠らない。自分を過信せず、正しく見る。
自分に言い聞かせます。私は安くないお金をいただいて、オーダーでお作りしているのです。
日々は、編む手に影響し、心が編み目に移ります。
私は、私の失敗と作り直しを受け入れて下さったお客様(というか、ホント長い知り合いの)に感謝し、この失敗話をみんなにしてもいいか、お聞きしました。
「大丈夫ですよー」ってお返事いただきました。
思ったサイズに仕上がらないってことは、編み物をする方みんなにあると思います。
編み物クラブで、私が失敗話をすると、みんなが安心するし、ほどくこともいとわなくなるようです。
大切なことと思うので、書きました。
写真は、私の失敗セーター3枚と、編み直してお届けしたセーターの写真3枚です。
サイズ4
col.190 Tundra