HOLY'S BLOG

ブックカバーチャレンジ7日目

勝手に自分の都合で飛ばしながら、ブックカバーチャレンジ最終回になりました。

もう誰もやってませんね。笑

最近、サン・テグジュペリ『星の王子さま』を読み直し、私は訳者、内藤濯さんのご著書「思索の日曜日」の中の一遍を思い出しました。

詩人、草野心平さんの実弟、ただ一冊の詩集のみ刊行し、42才にして病死された草野天平さんの詩を辿り、フランソワ・コペエの「地味な人々」の一節に導かれるのです。

何もかも冴えない小男は、ソワッソンの片田舎に母を残し、パリの従兄に世話をされ、食料品店と女房をあてがわれます。

小男の望みはただひとつ。父親になること。

望みは叶えられず、ただ俯きながら、砂糖を砕く日々の男。汚れた身なりの少年が、小銭を手に、飴玉の瓶に差し出すと、男は飴玉をただその男の子にくれてやるのです。

売れてる店でもないのに。

男の胸の内は、温かく満ちていきます。

小男の毎日は、やはり暗い顔をして、店で立ち働くのですが、心に浮かぶ幼い頃の生まれ故郷、ソワッソンでの日々と、残す母を思い浮かべては、一縷の光を見るのです。

そんなお話でした。

世が世だから、とか、そんなことが言いたい訳ではなく、なぜそんなにこの小さな話に惹かれるのかわかりません。
なぜなら、この本と出会った17年前。

器用さが当たり前に求められる、誰もがマルチタクス。
前へ前へうまくやらなければと、背中ばかり押されるこの頃。
実際、潰されそうな焦燥感にも煽られます。

小男が見る光が、きっと美しいものであることだけは、確かな気がします。

「純粋に、自分の読書体験の話をしよう」
ありがとうございます。