HOLY'S BLOG

仕事のためのルームソックス

長野の展示会にて、駒ヶ根市で地元伝統の伊那紬の織染会社で、着物になる反物や帯の織手として勤めておられる女性から、織機に向かうための靴下をオーダー頂いた。
もう4年前のこと。

足で縦糸を動かす踏み木を2本、花織りという織模様なら4本を両足で踏み分けながら織られるので、私が作っていた中敷や皮が貼ってあるルームシューズではなく、重ね履き用の靴下が必要とのこと。

工場(こうばと言われてた)は、古い建物のため、冬はとても寒く、部屋の真ん中に大きなストーブがあるだけ。
エアコンはなく、夏は開け放した窓に扇風機が回るのだそうだ。

ボタンがついたデザインと、色はリクエスト頂いた。
スケッチブックに足をのせてもらい輪郭を写した。

糸は2本どりで、分厚くなり過ぎず、しかし3号針で目を詰めて編んだ。

その時作ったルームソックス。

このルームソックスについて書いてみようと、改めて昨日お電話でお話を伺った。
朝8時から夕方5時まで、昼休憩を挟んで
実質8時間、織られているとのこと。今年で、丸8年。
作業の合間、ポットに持参した飲み物を口に含んで、集中力を持ち直すとのこと。
「肩や首をぎゅー、ぎゅーって縮めて伸ばしてしながらね」

踏み木を操るのは、つま先だけ使っていると痺れてきて織地に影響される、足全体で踏む、それは続けてきてわかったこと。
縦糸が切れた時や、糸替えの時は、その間、踏み木を抑え続けなければならない。

そんな日々の仕事の中、この靴下を寒い長野でのこと、10月から4月まで履いてこられて3年を越した。

まだ全然傷んでなく、修繕も必要ないとのこと。
以前使っていたアクリル製のルームソックスより、あったかいそうだ。

織機に体を入れて、姿勢を正し、手も足も動かして織り続ける、なかなかの体力仕事なのだと改めて感じる。
まだまだ話尽きない中、他の電話が入り、慌ただしく彼女との話を終えた。

またきっと会いに行きますね。

その時まで、私ももっと良いものを作れるようになってたいと思う。

注)写真は、一眼レフのフィルムカメラの写真を、さらに撮ったものです。
ご了承頂けるとありがたいです。