HOLY'S BLOG

フェアアイル制作についての考察

この間、仕上げたベストの後、お店用の小品を作り、次のメンズベストに取り掛かっている。

今回は、パターンは前に作ったものを、サイズを変える。メンズサイズに調整だ。

パターンデザインと配色からの、まるでゼロからのオーダーだと、それを決めるまでにそれなりの時間がかかる。
今回省かれるその手順は、少し気も楽なようで、
制作二度目のパターンは、自分が機械的になりがちだ。
惰性が入るとうっかりミスをするので、気は抜けない。
少し配色を入れ替えてみたいところがあり、それはワクワクする。

パターンからの、全くゼロからオーダーと、
パターンは決まっていて配色を変えるオーダー、
今までの作品から「パターンも配色もこれが良いです」のオーダーと、
値段は全て同じ。
ゼロからオーダーは、自分の持ち札を増やす作業になるから構わない。

パターンから起こす、または配色を変えるオーダーのベストやセーターの場合、試し編みで色柄を全て決めてから取りかかる。
決まるまで編み変え続けるので、色合いは頭の中に入ってしまうのだけど、
試し編みの数十センチ四方で見ていた色合いが、本番となると、縦横に広がる様子は、予想はしていても、ドキドキする。
初めての景色だ。

今回は、前回ゆったりめのレディスサイズで作ったものをメンズサイズにする。
Vネックは浅め。
女性には胸があるが、男性には胸板がある。
腕も肩からつながる筋肉が違うので、袖ぐりはたっぷりだ。

フェアアイルの伝統的な作り方だと、肩はまっすぐ編み、前身頃と後ろ身頃の柄が肩で繋がる様に編む。
その計算された柄の連なりは魅力的で、
数年前までは、可能な限り私もそうしていた。

最近は、大概の場合、わずかな肩線を、斜めの線を出している。
柄はもちろん合わなくなる。

友人からのクルーネックのベストのオーダーから、前身頃だけに長い斜めの線を作ることで、肩線を肩の上からずらして柔らかい線を出せる様になった。

肩線をずらすやり方は、以前見たツィードのクラッシックなハンティングジャケットで見て、それだと肩が動きやすいと覚えている。

今はこのやり方が着心地にも繋がるのではないかと考えている。

今日から、大きめのパターンに差し掛かる。

お気に入りの音楽と、目は手元。小さくハミング。そんな心持ちで、作りたい。