HOLY'S BLOG

働くセーターの効用

今日のような雨の日の、ウールニットの効用をお話しします。

春先に向い始めると、雨の日が多くなりますね。コートを着るほど寒くないけど、春ものばかり重ねても、なんだか心許なく薄ら寒い。

ちょうど昨年「働くセーター写真展」の準備のために、京都を訪れた日のことを思い出していました。4月だったけど、肌寒い雨が降り続く日でした。
街のあちこちを歩くのに、傘をさしていても細かな雨が肩先に落ちてきます。
働くカーディガンを羽織っていると、繊維の上に雨粒が止まります。室内に入ってサッと脱ぐと、表面に付いた水滴は、ゴアテックスとは言えないまでも、パッと散ってくれるんです。
開げて干しておけば、次の移動時には乾いています。
ウールの放湿性のおかげです。
綿コートやパーカーでは、雨はしっとりと染み込んで、体温を奪っていきますね。
ハイテク繊維もいいけれど、体温で柔らかくなり、湿度(汗)を吸ってあたたかさが増し、放湿してくれるニットを着続ける心地良さは、なにものにも変えがたく。
静電気もおこりません。色合いも肌に馴染みます。
シンプルな形のセーターやカーディガンは、着回しも効きますね。

シェットランドヤーンのspindriftを2本取りにしたのは、spindriftほど、色数がたくさん揃っている毛糸はない、という理由もありますが、並太毛糸や極太毛糸を一本で編むより、繊維の層がたくさんできるし、編んだ編み地は、太い糸で編むより隙間が少なく平に仕上がります。編み地が生地として良いと思ったんです。
シェットランドヤーンの特徴は、厳しい北海の孤島で生まれ育った羊が自ら生み出す繊維の優秀さ、軽くてしなやか、とても温かい。

輪編みばかりの働くセーターには継ぎがないので、編み地を余すことなく使えます。
継ぎがないために脇の下もゴロゴロしません。お腹周りもすっきり。
ガンジーセーターを着たチャネル諸島の漁師たちが、オールインワンの仕事着の下に、家族が編んだガンジーセーターを着るように、働くセーターも使ってもらえたらと思っています。
ラグラン袖なので、着て動いても肩凝りがありません。

トップダウンで編んでいるので、ほつれやすい袖口や襟ぐりを解いて編み直せます。
傷んだところを少しずつ補修しながら、気に入ったものを着続けられると、うれしいですね。
補修箇所は色を変えたっていいんです。

(だから働くセーターなんでした)

新幹線の車内で眠くなり、脱いだカーディガンを肩から被ると、毛布まで持参してるような気持ちになります。軽いから落っこちないし、袖を首に巻き付けるんです。