HOLY'S BLOG

10年物のベスト

もう長く冬の間、私が作ったベストを着てくださってるお客様から、ベストのお直しを、とのこと。
届いた荷物を開けると、見慣れたベスト。
本当に寒い季節にその方の事務所でお会いすると、ほぼそのベストを着てくださってるからだ。

奥様から、替えのベストもご注文頂いて、もう2着作っている。
でも、この紺色と編み込まれた柄の色合いが、一番しっくりこられるのか。
落ち着かれるのだろう。

お直しは、ボタンの付け直し。
ボタンが裏ボタンごと、取れたものの同封があった。
ボタン付けの糸が解けることはなく、編み地が痛んで裏ボタンごと取れたのだ。

作った時に付けた裏ボタン。

牛皮の一番柔らかいヌメを丸く打ち抜いて裏ボタンにしていた。
この頃は、それが一番いいと思っていたからだ。
しかし、毎春ごとの洗濯にさすがに硬化している。
この硬さが編み地破けの原因になってないか。
男性でもあるし、片手でボタンの開け閉めをなさると思うので、力がかかることは仕方がない。

破れた編み地も、柄に沿って新しい糸で模様を入れ、補強した。

その上から、ボタンを付ける。
裏ボタンは、スウェードに替える。

前回のボタンの付け替えたのもスウェードにしていた。

他全部のボタンもスウェードに付け替えることにする。

襟ぐりの幾箇所のほつれも、ついでに直す。
一箇所、見覚えのないほつれ直しがあった。
襟ぐりの縁から柄のほつれが全て紺色で埋められてある。
後でお聞きすると、いつもお願いされるクリーニング屋さんの手の物ではないかとのこと。
ベストのクリーニングを、私がする年と、他の年にはクリーニング溶剤で糸が痩せないようにと、手を掛けてくださるクリーニング屋さんに出してくださってるのだ。

クリーニング屋さんの仕事にも、頭が下がる。

お直しを全て終えて、よく晴れた日に洗濯を終えた。


体の大きな方なので、ベストがうちのハンガーが合ってないのです。

次回のお直し、きっとまた一番擦れる襟ぐりの、別の所がほつれたら、その時は襟ぐりごと編み直します。

調べてみると、2005年の制作だった。
襟ぐりのほつれは、自分の腕の未熟さも否めない。

長いことありがとうと、糸へなのか、着てくださってる方へなのかわからない気持ちだ。