HOLY'S BLOG

ハグロトンボ

昨日朝のこと。

手入れの行き届かないうちの庭に、黒い羽で群青色のしっぽを揺らすハグロトンボが舞っていた。

そのヒラヒラと飛ぶ姿に、クロアゲハかと一瞬思った。

葉に留まると、優雅に羽を開閉する。

ツガイになるべく、相手を探しているのか。

そんな姿を見せてくれる。

 

いや、彼女が来てくれたんだ。

初めて会った時の、ギャラリーで次々と「これもいいですか?」なんて言いながら、私の作ったショールや帽子を試着する彼女。

「ついさっき、お金使っちゃったから、全然ないんですよ〜」と言いながら、私に確認すると、次々気になるニットを手に取っては身につけ、「カワイイ」と繰り返す。

全然いやじゃなかった。

広めのギャラリーをヒラヒラと飛び回り、手を振りながら帰ってった。

まるで、今日のハグロトンボのようだった。

その後、私達は長い時間をかけて、友達になる。

時に、彼女の思う良心とのすれ違いで、私は心を固くし、彼女の訃報が入った時には、まずそのことを深く後悔したけど、

私達は、それが最後ではなかった。

楽しい時間で、終わっていたけど、例の件で、頻繁に連絡を取らなくなったことは確かだ。

その後、私は猛烈に忙しくなり、全くの仕事関係のない彼女とは、疎遠になった。

そのほんの半年間の間に逝ってしまった。

 

彼女が私に何を話したかったかを思うと、その口を噤ませてしまったのは私。

ニコニコと、見守っていてくれるだろうか。

都合の良いことばかり、考えている。