2019.07.04
働くニット
働くニット、続きます。
この毛糸でサンカ手袋を作ります。
サンカ手袋とは、スコットランドは、ダムフリーシャー州サンカ地方で、編まれている手袋です。
18世紀から19世紀の前半に編み始められ、
19世紀中頃には、ほとんど消滅しかかっているという事実。
伝承の起源として、シェットランドで編まれた馬車を操るドライビンググローブをサンカの人達が真似をしたのではないか、という説と、
当時、ヨークシャーに出現したカーペット工場の生産品に影響を受け、それまで無地の手袋を編んでいた人たちが、紡績で作られた細い毛糸とパターンを用いて編み始めた手袋なのでは、という説と。
どちらにしても仮説であり、定かではないそうです。
いずれにしても、名もなき人達が、伝承を残すことなく、技術とパターンのみ、引き継いでいるこの手袋。
工芸と言わずして、という気持ちになります。
サンカでは、黒と白の二色で編まれた手袋を、この色を使って編みたいと思います。
*参考文献『海の男たちのセーター』福のりこ著(日本ヴォーグ社)より