2019.06.02
リトル・シューベルト
「リトル シューベルト」
M.B.ゴフスタイン作・絵
落合恵子 訳 日本語版はアテネ書房
農夫の12子として生まれたフランツ・シューベルトは貧しく、作曲家になってからも五線譜を人から恵んでもらっていました。
ゴフスタインが描くシューベルトは、暖炉のない部屋で、五線譜だけを頼りに作曲し、手が悴んで書けなくなると、心に鳴り止まぬ音楽で一人踊って暖を取りました。
私は18〜26才まで、他の職にフラつきながら、楽譜工房という楽譜の版下屋で働きました。
シューベルト生誕200年記念の歌曲集出版の浄書では、この方に大変お世話になりました。(笑)
Ich liebe dich.〜♪ などと読めもしないドイツ語の歌詞を、音符の下にタイプライターで打ち続けるのです。
シューベルトの楽譜は美しく、イタリックで「cresc.」なんて打ち込むと、何とも言えぬ喜びがありました。
楽譜全体からメロディを感じられたからです。
シューベルトを描いたゴフスタインの絵本に、親しみを覚えて仕方ありません。
*『リトル・シューベルト』は廃盤で、友人の椿古本店より私物をお借りしています。