HOLY'S BLOG

ふたつのセータの行方


ロイヤルブルーのアランセーターは、ここまで編みました。
メンズセーターの壁、「編んでも編んでも終わらない」焦りも、とうに過ぎました。

作りたい襟の形への道程も、定まりました。
これから先、袖を編みつける計算の数の合致に、鳥肌が立ちました。
編み図を作っていると、時折、自分でも驚くような数字の並びが現れます。
もう迷いません。
手を置いて考える時間は、終わりました。


母とのシンプルな作業用セーターは、ここまできたので、すっかり引き取り、
母から、「ほっとした」と言われてしまいました。
編み図を作れば任せられるなんて、甘い考えで、
あっちからこっちからと編んだので、毛糸玉は絡まったままです。
なるべく、目の増減作業を減らし、
且つ立体的で動きやすく、ずっと着続けられるセーターにするための私の中の計画があります。
着続けられるセーターとは、イギリスの漁師の奧さんやお母さんが、旦那様や息子のために編んだセーターのように、
傷んだ箇所を編み直し編み直し、着るその人の身体の形となるのです。
全体が朽ちるまで着続けられる作り方があり、土に埋めれば、土に還ります。

この仕事が始めたばかりの頃、ファッション誌の記事で『Paul Harndenの、自然素材しか使わない靴作りのことを、知りました。
恐れ多くも、自分の目指す物作りはここにあると、
素材選びについて、自分は当時、商品を置いて頂いてた洋服店の提案にも、頑固に譲らなかったのは、このためでした。

このセーターが日々の仕事着として、みんなに編んでもらえるよう仕上げていきます。
しばらくは青いアランに集中します。