HOLY'S BLOG

Your Lone Journey

拝啓、ゴフスタインさま
あなたの本を目の前にすると、私は背筋が伸びます。
『Your Lone Journey』
(あなたのひとりの旅)
長年連れ添った愛しい人が、先に逝ってしまうお話。
ちょうど恩師が亡くなられたと連絡が入り、その日がお通夜だった。
さっと東京に行ける訳もないので、私の分は連絡をくれた友達に託した、その日のことだ。
親戚や家族ではなく、恩師を亡くしたのは、これが初めてかもしれない。
自分もそれだけ歳を重ねたということ。
この本を開いていたら、その日尋ねた友達がケニア茶のミルクティーを淹れてくれて、一瞬、涙が出そうになった。


友達を尋ねた日、友達のお母様が私がお作りしたベストを着て下さっており、その装いは、とてもすてきだった。
ベージュの柔らかなタートルネックと、リネン生地のロングギャザースカート。(ご自分で縫われたとのこと)
その上に、Cosmos(宇宙)と名のついた深い紺色をベースに、Jupiter(木星)やMirage(蜃気楼)など、ブルーから紫へと編み込まれているベストを合わせておられた。
その方の生活の場所で、自分が作ったニットが、すっかりその方の物になっているのを見るのは、とてもうれしい。
写真を撮らせてもらいたかったけど、カメラを向ければ、カメラに向かってくださるので、
まるでその日の流れを遮るような気がして、結局言い出せなかった。
しっかりと目に収めた。
そのせいか、いつもよりたくさんお話ができた気がする。
そうか、きっとそういうことだ。

自分の知ってる数人の写真家が、シャッター音の小さなライカを好んで使ったという意味も、少しだけわかったような気もして。