HOLY'S BLOG

製作中 2015.12.25.

「限りなく黒に近い焦げ茶」とシェットランドの人が言ったかどうかわからないけど、原毛のままの色の「シェットランド・ブラック」で編んでいます。
パターンは「ガチャピン」を入れたカーディガンで、とのオーダーです。

オーダー主様、当初「黒で」とのリクエスト。
お話しを聞いていると、真っ黒より柔らかいこの色の方が着まわしが効くような気がして、私の方から、提案させて頂きました。
シェットランドブラックなら、黒っぽくも茶色っぽくも、洋服の合わせ方で表情を変えてくれるのです。

目下の私の悩みは、いいボタンが作られなくなったことで、現行で作られている特に木のボタンは、ほとんど形が単一化されています。
ちょっと雰囲気のいい形の物は、もう古い物でしかなく、昔からの手芸屋、洋裁材料店でないと手に入りません。
今は木のボタンを彫る職人さんがいなくなり、またそういうボタンは、たいがいヨーロッパで、作られた物と聞きます。
広島市内の、自分が好きだと思うボタンは、かなりの量をここ10数年かけて買い尽くしたと言っても大げさではないと思います。(笑)

このボタンは胡桃の木で出来ています。
形より風合いの渋さが、甘過ぎないニットに仕上げてくれるように思えます。

以前、これも長野の友人が、叔母さんが営まれていた手芸屋を畳まれるとのこと。
数が色々の大小様々な木のボタンをたくさん送ってくれて、それはもう嬉しく、そして大活躍しました。
今も時々登場します。

母が婦人服の縫製を生業にしていたので、ボタンは子供の頃から家中に溢れていました。
洋服が傷んで着られなくなっも、ボタンだけは取っておいた物が、大きな箱の中にたんまりとありました。
大きな会社に入ってからは、それは高級服のボタンの残りを買って帰ったり、珍しいフォックや止め金具、ブレードなど、借りて帰り見せてくれていました。
そんなことで否が応でも、「ボタンを見ると、テンション上がる」の反射が身に付いてしまったようです。

買って頂いたHOLY’Sニットについては、(そこは門前の小僧ですので)商品として、気持ちは離していますが、もしその手袋やルームシューズ自体が、ボロボロになってしまっても、ボタンだけは取っておいて頂けたらと、ささやかに思っています。
将来そのボタンは、すごい風合いを出すやもしれません。
新しく仕立てた物にボタンだけ付け替えることもできますしね。

話が随分脱線してしまいました。
今日は、クリスマスで満月。1970何年だかぶりらしいですね。
さっき見上げたら、まだ少し東よりのてっぺんに拝めました。
満月の夜にボタンのことをひとしきり思うのも、(しかもお風呂の中で)なかなか良いものです。